―…そう…予想はしていた…三代目からの伝令を受け取った…その時点で…

 …なぜなら…

 『セン』=それは『渦巻』一族当主・『奥継』が『表』で使用する『仮の名』の一つだから…


 …『三代目・火影』が『奥継総領』である『ナルト』を『セン』と呼ぶ…
 …その意味する所をアスマとアンコは、それぞれ異なる事情から『渦巻一族』と深い関わりを持つが故に識っていたから…


 
はじまり―4―


 ―ナルトは『抜け道』から出て、里の中心街の外れにある森の中にいた…
 …その森は『一族』所有の森の一つに隣接しており、ナルトはその森を抜けて『一族所有』の森の一つである『鳴門の森』に入ろうとしていた…
 …そうして森に入って暫く経った時…
 …不意に気が付いた…

 …いつもと違う『何か』に…

 …その『何か』を感じ…気のせいではないとすぐに判断すると、ナルトは即座に目を閉じて集中し、特殊な印を組み、膨大にして特殊な金色のチャクラを練り込み、そして一気に両手両足を大きく大の字になる様に広げ、練り上げた黄金(キン)のチャクラを穏やかに解放した大気…否…自然に溶け込ませる様に…
 …否…正にその為にこそ…この時のナルトはこの能力を使っていた…
 …そう…『奥継』という『血継限界』に付随する能力の一つで『一族』の者なら多少の差はあれど誰もが使える『それ』…『思念同調』…
 …『それ』は…チャクラの同調によって、思念をあらゆるモノと同調させ感じ取り、読みとる術…ある種の…シンパシーともテレパシーとも云える…しかし厳密にはそのどちらとも異なる術…
 …その術でもって…ナルトはいま…森の様子を感じ取っていた…

 …そうしてナルトは『それ』を感じ取った…

 …そう…

 …暗い森の中…たった独りで怯える…小さな少女の思念(こころ)を…

                                  ―続く―